現代版サルカニ話の行方

 





この一連の出来事。

何人かの人に目撃されていて、それが他の子ども会の役員さんにも伝わってしまったのです。

かおりさん、用事があると言っては、他の人に仕事をまかせ、自分では何も動いておらず、このことをきっかけに、“わたしも”“わたしも”と、皆で真実を話始めたのでした。

いままで、かおりさんと仲良くしてもらっている、と素敵な勘違いをしていたしょう子さんも、さすがに自分が利用されていたのだと気づき始めたのです。
たぶん、生まれつき人の良い、疑うことをしなかったしょう子さんを、傷つけしまうのでは?と気にはなっていましたが、それはそれ。
現実として、受け入れ、それでもかおりさんを許していたようなので、あっぱれです。

現代版のサルカニ話の、まさにカニさんですよね。
罪を憎んで、人を憎まずってやつでしょうか。

それから、かおりさん。
“ランチという重要な用事で、会議を断りました”
とは、皆の前で言い訳できなかったようで、最初は、わたしが皆にちくった、と逆ギレともとれる発言でごまかそうとしていまいたが、そのうち口をごもごもするだけになったのです。

そして、かおりさんが皆に仕事をおしつけた日のことをさかのぼって話だすと、数々の目撃証言から、ほとんどが“たいした用事ではなかった”ことが判明してしまったのです。

こうなると言い訳どころではなくなり、最後には皆の前で涙を流し、謝るのかと思えば、
“実は副会長をする自信がなかった”と、それでも自分の身を守ることを言い出し、周囲を呆れさせていました。
きっと、この人の性格が変わることがないと思います。

だって、その後、この出来事のことを、子ども会以外の人の前で、自分が役員さんからいじめを受けている、と涙ながらに語っていたというのですから。
転んでも、ただでは立ちあがらないタイプですね。

まぁ、そんな話、すぐにかおりさんの嘘だとばれてしまいますけど。
でも、このかおりさん、後から会長さんから呼び出しを受け、それからはちょっぴり周囲への態度が変わってきました。
会長さんがどんなお話をされたのかはわかりません。

普段の態度から、怒鳴ったり怒ったりはしていないことは容易に推測できるのですが、ここまでかたくななかおりさんの態度を変化させた会長さんは、本当にすごい人だと思います。
どうやら、かおりさんも会長さんのことは、今は尊敬しているようですから。

今の世の中、いろんなタイプの人がいて、子どもだけでなく、母親間や会社なんかでもいじめが存在すると聞きます。
会長さんのような方が近くにいてくれたわたしたちは、とてもラッキーだったかもしれませんね。

わたしたちが子どもの頃、当たり前だった、上級生が小さい子の面倒を見る、ということさえ、“下級生の面倒・責任を上級生に背負わせる”と、苦情を言ってくる人がいるのですから。

悪いことをしている、しそうになっている子どもを見かけても、自分では注意することなく警察に連絡している人もいました。
悪いことをしている子どもを、当たり前に諭したり叱ったりする人が少なくなってきました。

何が世の中をそう変えたのか、今知ることが出来ませんが、昔話で怖い思いをした人たちの方が、人を思いやる気持ちを持っていると、わたしはどうしても考えてしまいます。